第7章 愛の挨拶
部屋の掃除と洗濯を済ませ、家を出た。
目的の楽譜を購入し、ぶらぶらと街中を歩く。
こんな時間の過ごし方したことなかったな…
こういうのをデートっていうのかな。
「あ…」
智が突然立ち止まった。
「どうかしたの?」
「この店、入っていい?」
智が指差したのは、インテリアショップだった。
「うん、いいよ。
俺の買い物に付き合ってくれたんだから、智も行きたいところ行ってよ」
「よっし、じゃあ行こう」
智と一緒に店内を見て回った。
「あぁ、あったあった」
「え?何?何を探してたの?」
「ん?あれ…」
智が顎でしゃくった。
その方向を見ると…
「ベッド?」
「そう…買い換えようと思ってな」
「でも智のベッド、そんなに傷んでないよね?」
「サイズをデカくしたいの。
ふたりで寝るなら、もっとデカイ方がいいだろ?」
「え、ふたりって…」
やっぱり彼女いたのか…
だったら悪いことしてたな、俺。
「あの家に俺とお前以外の誰が居るんだよ」
「へっ⁉」
「なんだよ、そんな驚いた顔して」
「え…だって…嫌じゃないの?」
「何が?」
「俺と寝るの…」
「翔は嫌なのか?」
俺は首を横に振った。
「ううん…嫌じゃない…」
「あのさ、前から思ってたんだけど
なんでお前は、イチイチ俺が嫌かどうか確認するんだ?」
「だって…」
なんて答えていいのかわからず、俯いてしまった…
だって俺、智に嫌われたくない。
智と出来るだけ長くいる為に
ちょっとでも、智が嫌だと思うことはしたくないんだ…