第7章 愛の挨拶
「俺から提案してんだよ?
なのに俺が嫌な訳ないじゃん。
翔が嫌ならハッキリそう言えよ。
そうすれば、俺も無理に話し進めないからさ」
智が眉毛を寄せ、少し寂しそうな表情をした。
「嫌じゃない!」
少し大きな声を出してしまった。
だって誤解されたくない。
「翔?」
今度は少し驚いた表情をする智。
「ごめんなさい…
ほんとは凄く嬉しいんだ…嬉しいんだけど、智に迷惑掛けたくないから…」
俯いた俺の頭を智が撫でるから、俺は視線だけをあげ智を見た。
「さっきも言ったけど、俺がそうしたいと思ったから言ってるの。
だからさ、お前はお前がしたいと思うことを言っていいんだよ?
自分の気持ちを殺すなよ…お前の話しはちゃんと聞くって言っただろ?」
智が優しく微笑んでくれたから、俺はコクンと頷いた。
「ありがと、智。
俺、智と一緒に寝るの好きだよ…だから大きいベッドに買い替えよ?」
「いいコだ」
ワシャワシャと俺の頭を撫でる智の顔が、嬉しそう。
「さてと、どれにする?」
「ん~、今のベッドの硬さいいと思うけど」
「試していってみるか」
ふたりで並んでベッドに寝転がった。
「これは?」
「ちょっと軟らかいかな…」
「んじゃ次…」
次から次へとベッドを替え、試していく。
「ふふっ…」
智が突然笑い出した。
「どうしたの?」
「なんかさ、ふたりでベッド選ぶって新婚みたいじゃね?」
寝転んだまま、智がこっちを向いてそんなことを言うから、急に恥ずかしくなった。