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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第6章 トロイメライ


店の開店準備をしていると、ニノが近付いてきた。

「歌の歌詞調べたの?」

「ああ、調べたよ」

「じゃあ歌ってよ。そしたら今日も翔、ピアノ弾くんじゃない?」

「別にいいけど…お前も聴くの?」

「なんで?聴くよ?駄目なの?」

「駄目じゃないけど、なんか恥ずいじゃん」

「いいじゃん。俺とお前の仲で、今さら恥ずかしがるなよ」

「俺とお前はそんな仲じゃねぇよ」

「冷たいなぁ…まぁいいけどさ。
でも本題は翔にピアノ弾かせることなんだから、協力してよ。
これでいい感じに弾けるようになったら、本当に店で弾かせたいし
指ならしくらいにならなると思うけど?」

ニノも翔のこと考えてくれてるんだよな。

「うん、そうだな」

着替えを終えた翔が店内に入ってきた。

「あっ、翔…準備終わった?」

「はい、こっちは終わりましたけど」

「じゃあさ、今日も弾いてくれない?『星に願いを』。
智が歌ってくれるって」

「え?智が?」

「うん、そう。翔も聴きたいでしょ?」

「あ、えと…」

翔が返事を躊躇ってる。
なんでだ?昨夜は喜んでくれたのに。  

「聴きたくないの?」

「いいえっ、聴きたくないわけでは…」

なんだかハッキリしないな…

「どうした?翔…
昨夜は聴いてくれたのに」

「昨夜?なに、翔にはもう聴かせたの?」

「ああ、昨日歌詞を調べてるときに口ずさんでたら聴かれたんだよ」

「ふ~ん、じゃあ大したことなかったんだ」

ニノが残念そうに俺を見た。
失礼な奴だな、と思ってたら、翔が凄い勢いで否定した。

「違いますっ!俺だけに聴かせて欲しいからっ」

「えっ?」

「あ…」

驚くニノと、顔を紅くする翔。

「そっか、なるほどね…
じゃあ智の歌は諦める。
その代わり、翔のピアノ聴かせてよ」

翔はホッとしたように微笑むと

「俺のピアノでよければ」

ピアノに向かって歩いていった。
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