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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第1章 プレリュード


「じゃあ、翔は着替えして来て?智、翔を案内して」

「あ、潤…翔の服、まだ用意してないよ?」

潤さんはニノの方を見るとニコッと笑った。

「大丈夫、今日一緒に買いに行ったから」

翔は手に大きな紙袋を持っていた。

「そうなんだ…」

その紙袋を捉えたニノの目が少し悲しそうに見えた。

「智、早く翔を連れてって」

「あ、はい。こっちだよ」

「はい…」

潤さんに促され、慌てて翔に声を掛けると、俺のあとをついてきた。

チラッと後ろを見ると、潤さんがニノに近付き手を伸ばし
ニノが嬉しそうに微笑む姿が見えた。

翔を店の奥の事務所へ連れていく。

「従業員は俺とニノしかいないし
更衣室って特に無いんだ。
だから、着替えはここでして?」

「はい、わかりました」

翔を残して店内に戻ってもいいんだけど
ニノの為に、少し潤さんとふたりきりにしてやるか。

翔がシャツを脱ぐと、首元についたキスマークが目に飛び込んできた。
まだ付けられて間もない鮮やかな色。

「それ、潤さんにつけられたの?」

「え?あっ…」

俺の視線の先に気が付いたのか、翔がその場所を手で押さえた。

「シャツ着ちゃえば見えないから大丈夫だよ。
でも、ニノには見せないようにして貰えるかな」

「ニノさん?」

「そ、俺もニノも、お前と潤さんの関係は知ってるけどさ
ニノって、潤さんのこと好きなんだよね。
ニノは潤さんのやってることに、不満はないって言ってるけど
やっぱりキスマーク見せられるのは、いい気はしないだろ?」

ニノが潤さんを愛してるのは、さっきの様子を見てれば十分に伝わってきた。

口ではなんだかんだ言っても、やっぱ好きな人が自分以外の奴と、目の前でイチャつくのは見たくねぇよな。

だから翔には知っておいて貰った方が、お互いの為だと思った。
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