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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第4章 子犬のワルツ


「それもさ、いずれは弾かせたいんだよな」

「でも本人が嫌がるでしょ?」

「ん~…でも勿体なくね?あの腕前放置するの」

「確かに…完璧な演奏だったもんね。
相当な訓練受けてたんじゃないかな?」

「だと思う…包丁も握らせて貰えなかったって言ってたから」

「へぇー!そりゃ相当だ」

ニノが目を見開いて驚いた。

「だろ?だからさ、今すぐとかじゃなくていいから
いつか弾いてくれねぇかな…」

ニノが視線を伏せ、顎に手を添えると少し考えてるようだった。

「だったらさぁ、クラッシックじゃない曲とか弾かせてみれば?」

「クラッシックじゃない曲?」

「うん。あんまり弾かないでいると、指が鈍るから…
クラッシックはいつか弾かせるとしても、指は動かしておいた方がいいと思う。
気軽に弾ける曲だったら、本人もそんなに嫌がらないんじゃないかな」

「例えば?」

「映画音楽とか…ディズニーとかでもいいかも」

「あいつ、そんなの弾けるかな?」

「あれだけの腕だよ?
楽譜見れば…いや、見なくても
一度聴けば弾けちゃうかもよ?」

そうか…試してみるかな。

「そういえばさ
お前と潤さんって、その後どうなの?」

「ん?相変わらずだけど?」

「また拾って来てんの?」

「ううん、今のところまだ…
でもその内拾ってくるんじゃない?
翔が智の所に行ってから、もう3ヶ月経つしね。
そう考えると今回は長いのか…」

「なぁ…お前、それでいいのかよ」

「いいんだよ。
翔がここに来た次の日かな…潤に言われたんだ
『ずっと傍に置いておくのはカズだけだから』って。

だからいい…
潤がみんなのこと幸せにして満足したら、最後は俺だけのモノになる…
それがわかったから」

「そんなの、いつになるかわからねぇじゃねぇかよ」

「そうだね…
でも初めて潤から将来の言葉を聞けたから…
俺はそれだけで十分…」

ニノが幸せそうに微笑むから、それ以上は何も言えなかった。

これはこれでひとつの愛の形なんだろうな…
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