• テキストサイズ

きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第4章 子犬のワルツ


《智サイド》

翔が我が家に住むようになって3ヶ月。

元々理解力が高いのと、相当な努力家らしく
そこそこ料理も出来るようになってきた。

「智、これどうするの?」

ベランダで育てたししとうを手にし、翔がキッチンへ入ってきた。

「炒めて味噌で味付ける」

「うん、わかった」

水道でししとうを洗う翔。

俺に対する言葉使いもだいぶ砕けてきた。

俺が『肩が凝るから敬語を止めろ』って言ったせいではあるんだろうけど…
それでも最近は翔自身からも力というか、緊張感が抜けてる感じがする。

ここでの生活が板に付いてきたんだろうな…
この部屋に翔がいることが、至って自然に馴染んでる。

「うんっ、美味しい!」

「無農薬で摘み立てだからな。
旨くないわけがない」

「家庭菜園もしてるなんて、智って主婦みたい」

「ししとうは育てるの簡単だし
酒のツマミにもなるからいいんだよ」

「あ~合いそう」

「それにビタミンCも豊富だしな
美肌には必要な栄養素だぞ?」

「美肌って…でも、なんでも知ってるんだね、智って」

尊敬の眼差しで俺のことを見つめるけど
俺からすればこんなことは一般常識で。

こんなことにさえ感心する翔は、今まで必要な情報しか与えられて来なかったんだろうな、と少し気の毒になる。

当の翔は、はじめの頃こそ戸惑っていたが
教えることにはなんでも興味を持って積極的に学ぼうとする。

俺の話を真剣に聞き、わからないことは質問してくるし。

なんだか子供を育ててる親の気分。

店の仕事も慣れてきたから
今夜あたりニノに相談して、カクテルの作り方を少しずつ教えてみようかな、なんても考えてる。
/ 243ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp