• テキストサイズ

きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第4章 子犬のワルツ


朝食を智に教わり手伝いをしながら一緒に作った。

「ふぅ~、出来た」

「どうだ?自分で作った目玉焼き」

「目玉になってないですけど…」

「だってお前、卵もまともに割れないんだもん」

「智の分まで崩れてしまって、すみません…」

「ははっ、気にするなよ。
お前の初料理だろ?超貴重なモンだぞ?」

智の手がまた俺の頭を撫でる…
それだけで落ち込んでる気持ちが浮上してくるから不思議だ。

「食べ終わったら買い物行くからな」

「はい…」

俺の作った目玉焼きを智が『うんっ、旨い!』と笑顔で食べてくれた。

卵を割っただけのしかもグジャグジャの目玉焼き…

「いいんだって…人の為に頑張って作った物は、それだけで旨いんだから」

智の笑顔は、嘘を言ってる様には見えなくて
だから俺もまた頑張ろうって思えた。

いつか本当に美味しいものを智に食べさせたい…


後片付けをして智と買い物へ出掛けた。

「パジャマの他にも、服何着か買おうな?」

「え、でも俺そんなお金持ってないです」

潤に貰ってたお金は、家賃と食費と光熱費でほぼ消えた。
少しだけ残って貯めておいたお金もあるけど、何枚も洋服を買うくらいには残ってない。

「後払いでいいよ。
お前が給料を貰ってから、毎月少しずつ返せ」

「ありがとうございます」

少しずつ返せなんて…
これも智の優しさなんだろうな。

俺の負担にならない提案の仕方。
買ってやるって言われたら絶対遠慮する。

でもあまりにも俺の手持ちの洋服が少ないから、買わないと確かに不便。

昨日の俺の荷物の少なさに驚いてたもんな。

ショップで貰った紙の手提げ袋に、下着類とあのパジャマも含め、スカスカの状態だったんだから。
/ 243ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp