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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第3章 春の歌


鮭を焼きつつ、お湯を沸かし鰹節で出汁を取る。

お茶漬けの準備が整った頃、翔が風呂から上がってきた。

翔が着ていたのは、ワインレッドに近い濃い紫色したパジャマ。

悪くはない…生地もシルクっぽいし、肌触りは良さそう。
でも、今の翔には似つかわしくないような…

「そのパジャマどうしたの?」

「潤の家を出るときに貰いました。
使ってないからくれるって」

なるほどね、潤さんならしっくりくるな。

「翔、明日買い物行こう?
新しいパジャマ、プレゼントするよ」

「え?でも俺、これで大丈夫ですけど…」

「新生活が始まるんだから、パジャマも新しくした方が良くない?
それにそのパジャマ、この部屋には似合わないよ…
潤さん家みたいに、高級マンションならいいけど」

「そう言われればそうですね…」
 
「そうですねって、お前…」

「あっ!すみません」

「ははっ、いいよ謝らなくて。俺が言ったことだし。
さ、メシにしよ?」

「手伝います」

「んじゃ、これよろしく」

トレーに乗ったお茶漬けを翔に渡した。
俺は漬け物をのせた皿を持つ。

「凄い…本格的なお茶漬け」

「それくらいは食わないとな?
夕飯なんだから」

「あ、そっか…」

「仕事が夜の仕事だと、飯の時間もずれるから軽くなるのは仕方ないけどさ
ある程度栄養は摂らないとな」

「じゃあ、昨夜は一食抜かせてしまったんですね」

「そういうことになるな。
だから余計にお前のことが心配になったの。
お前、元々食べる気なかっただろ?」

「だって寝るだけだし…」

「わかるけどさ
でも、ちゃんと栄養管理が出来ないうちは、ここから出すわけいかないからな?
この家から出ていきたかったら、まずはメシを作れるようにならないと」

「えっ!そんなの無理です」

「無理じゃねえよ。
教えてやるから、明日から少しずつ覚えろ」

「わかりました…」

「よしっ、じゃあ食うぞ」

「はい」

ふたり、共に手を合わせた。

「「いただきます」」
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