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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第3章 春の歌


その日の夜、ニノさんにその事を報告した。

「え?智のところに?」

ニノさんは大層驚いた様子だった。

そうだよな…昨日まではそんな話出る筈もなく
当の俺だって智の申し出には驚いたんだから。

それでもニノさんはふっと表情を和らげると、俺の頭に手を置いた。

「智なら任せて安心だ…よかったね、翔」

優しい笑みを見せるニノさん…

潤のことで哀しませた俺に対して、なんでそんな表情を見せてくれるんだろう。

「あの…」

「ん?なに?」

潤とのことを謝ろうと思ったけど、それも何か違う気がして…

「色々、ありがとうございます」

昨日心配してくれたことも含め、お礼を言った。

ニノさんは益々笑顔になり
俺の頭に置いてあった手を、智と同じようにくしゃくしゃっと撫でた。

「どういたしまして」

ここの人たちはなんて心地いい人たちなんだろう…

また俺の体の中を温かいものが流れていく。

潤がここを紹介してくれたのってそういうことなのかな。

「で?どうするの?引っ越しとか」

ニノさんが智の方を向いて確認する。

「あぁ、こいつん家なんも物ないから
とりあえず着るものだけ家に持ってきた。
あとは布団を持ってきたいんだけど、車じゃないと無理だろ」

「じゃあ潤に頼んでみるよ。
智は車の運転出来ないし、俺の車じゃ小さいから」

「まあな。でもいいのか?そんなこと潤さんに頼んで」

「大丈夫大丈夫…潤もこの話し聞いたら安心すると思うよ」

「そっか…なら頼むわ」

「オッケー、連絡しとく」

「よろしくお願いします」

ニノさんにお願いすると、微笑んでくれた。
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