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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第1章 プレリュード


「翔…俺も何度も言ってるだろ?
俺はお前の身体をお金で買ってはいないよ…
俺はお前を愛してるから抱いてるんだ」

「じゃあ、なんでお金をくれるの…」

初めて出会った日から、潤は俺がひとりで生きて行けるだけの金を毎月渡してくれる。

「それは出資金だって言ってるだろ?
お前が本当の幸せに巡り会うまで、俺は出資しつづけるつもりだよ?」

「意味わかんないよ…なんで赤の他人のアナタがそんなことする必要があるんだ」

「お前が死にそうな顔してたから…」

そうだよ…あの時の俺は苦しくて苦しくて…
息することすらまともに出来ないようなあの空間から逃げ出してきたんだ。

潤が言うように死にそうな顔をしていたんだろうな…

死んでるも同然の俺だったけど
臆病な俺には、実際死を選ぶことなんて出来なかった。

だから潤について行った。
あの家に戻るよりはマシだと思ったから…

元の生活を捨てる為に、俺は潤に抱かれ生活に必要なお金を獲ている。

人間としては最低な行為だとわかってはいるけど
生きていく為に俺が出来ることは、それしか思い付かなかった…
いや、思い付く前に潤によってそうされてた…が正しいのかな。

「翔…お前が俺に身体を売ってると思っているのなら、自分で働いて金稼ぐか?」

「え…」

「お前、まだ自分で金稼いだこと無いんだろ?」

バイトなんかしたことない。
バイトどころか、友達と遊ぶ時間さえ俺には与えられていなかった。
俺に与えられていたのは、ピアノのレッスンをする時間だけ。

「店を紹介してやる…明日からそこで働いて人との関わりを学んでこい」

人との関わり?
今まで一切してこなかったこと…

それを学ぶことで何か変わるんだろうか…
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