第2章 幻想曲
「なんでそんな風に思うの?
翔のせいじゃないだろ?
お前、ニノの存在を知ってて潤さんに抱かれていたのか?」
「潤が、俺の他にも身体の関係を持っている人がいるのは知っていましたよ?
でも、それがニノさんだとは知りませんでした…」
「だったら潤さんの責任だろ」
「それでも、俺の存在がニノさんを悲しませたことには変わりない…」
翔が視線を伏せた。
「翔がいなかったとしても、潤さんは別の誰かを拾ったよ。
ニノが傷つくのは、潤さんのやってることがそもそもおかしいからだ」
「それはそうです…
だから潤には、昨日そのことを伝えました」
「え?そうなの?」
「ええ、その事を潤と話をしたくて、昨日送って貰ってしまったんですけど」
「潤さんに何て言ったの?」
「別に、世間一般的な質問をしただけです。
『ニノさんだけを愛せないのか』って…
潤はニノさんが『その状況を理解してる』って言うから
『理解してても、納得してるかは別だ』って言ったんです。
その後、考え込んでいた様子でしたけど
今日ニノさんを迎えに来たんで、いくらかわかって貰えたんですかね…」
やっぱり人の心は持ってんじゃん。
こんなにしっかりと、他人の苦しみ理解してんじゃねぇかよ。
しかも、潤さんにニノの本当の気持ち伝えてやってるし。
昨日の相葉さんへの対応にしてもそうだけど、無意識に人の為に行動してんじゃん。
何が『心がない』だよ…
お前自身が、人に対して心を閉ざしてるだけだろうが。
そんな寂しいお前のこと、益々ほっとけねぇよ…