• テキストサイズ

きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第2章 幻想曲


「翔の考えはわかったよ…
とりあえず着替えて来ちゃって?店のオープンに間に合わなくなるから」

「はい…」

翔が店の奥に消え、ニノが俺に向かって苦笑いをした。

「智はどう思う?翔のこと…」

「昨日も話してて思ったけど、『人の愛』って物を端から信じてない感じだよな」

「潤は本気で翔を愛して抱いてるんだ…
それなのにそのことを全く感じないなんて…」

「もしかすると、翔は愛されるってことがどういうことなのか、わかっていないのかもな…」

「どういうこと?」

「ん~、よくわからんが、昨日潤さんが『人との関わりを学べ』って言ってただろ?
普通はさ、家族や友人たちと過ごしていく中で自然と学んでいくモノじゃん。
でも、そういった環境で育たなかった場合どうなんだろうな」

「親がいないってこと?」

「いや、あの立ち振舞い見てると、そこそこいい家庭で育ったんじゃねぇか?
でもあの暗い瞳を見てると、愛情を与えられて来なかったんじゃないかと思えて…」

「愛を知らずに育つ。
人の感情の根源にあるべき『愛情』が欠如してる…だから『心がない』…か…
それなら納得できるね…心がなければ愛を感じることはできない」

「愛に飢えてるのに、愛を受け入れられないなんて、哀しいな…」

「そうだね…冷めた態度を取ってはいるけど、悪い子ではないし…
だから余計心配なんだよね」

「今の話だと、もう潤さんからの支援は受けないみたいだよな。
潤さんから離れるなら、ここで飼いならすしかないんじゃないか?あの捨て猫…」

「だね…智も協力してよ?」

「ああ、勿論…」

あんなに寂しそうな瞳の猫…放っておくことなんて出来るわけないだろ。
/ 243ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp