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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第2章 幻想曲


「翔、お前、今独り暮らししてんの?」

「はい…潤と出会ってからは、お金を貰って独りで生活を始めました」

「潤さんが全部生活費出してくれてんの?」

「今まではそうでした…でももう、出して貰うことはなくなると思います」

「なんで?」

「ここで働くなら、自分で稼げるので。
今までは、潤に抱かれてお金を貰っていましたから」

「その言い方だと、潤がお金で翔の体を買っていたみたいに聞こえるけど?」

ニノが哀れむような表情で質問した。

「俺としては、そう思ってましたよ?
潤的には違ったみたいですけど。
でも、どちらでも同じじゃないですか?
潤は愛してるから抱いてるって言ってましたけど、俺は愛してない…
愛してないのに、抱かれてお金貰ってたら、体を売ってるのと同じことですよね?」

「翔は、潤に抱かれてて、幸せを感じなかったの?」

翔はニノの質問に首を傾げた。

「なぜ幸せを感じるんです?」

「だって、潤…優しいでしょ?」

「優しいのは優しいんでしょうね。
昨日も、仕事で疲れている俺を、純粋に送りたかっただけみたいですし。
でもそれが何か?」

「優しくされて、幸せ感じないの?」

「潤の優しさは、表面だけですから」

「表面って…」

こいつ…本当にどんな環境で育ったんだよ。

『表面だけの優しさ』って…まだ若い翔が、そんな風に思うって、悲しすぎやしないか?

まだ二十歳だろ?去年まで子供だぞ?
何があったら、こんな考えを持つようになるんだ。

ニノの顔を見ると、ニノも眉毛を寄せ少し険しい表情。
ニノも感じてるんだよな…こいつの中にある哀しい影を。
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