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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第2章 幻想曲


「智が?」

「うん…あの人、心配そうだったよ?ニノさんのこと。
いつも一緒にいるからよくわかってんじゃないの?
本当のニノさんの気持ち…」

「まさかそんな…カズが?」

「潤は、ニノさんの上辺しか見てないんじゃない?
たぶん今も、ニノさん傷ついてるよ?」

「何故?」

「貴方が俺のこと送ったりするから」

「そんなことで?」

「だって、一瞬振り返ったとき、ニノさん凄く淋しそうな目をしてた」

「カズ…」

「俺は、潤が誰を抱こうが何とも思わない。
潤に対して感謝はしても愛はないから…
愛がどういうものかなんて、わからないしね。
でも、潤も俺と同類なんじゃないの?
本当の愛ってわかってる?
愛って、同時に何人に対しても存在するものなのかな?
潤の『愛してる』は、自分に言い聞かせてるだけなんじゃないの?
俺はコイツを『愛してる』から抱いてるんだって…」

「そんなことない。俺は本当に、お前のこともカズのことも…」

「仮にそうだとしても、ふたりを同時に愛してるなんて言われても、俺は信用できない。
今の貴方の『愛』では、俺のこともニノさんのことも幸せに出来てないよ?
『愛』って、愛してる人のことを幸せにするものなんじゃないの?」

そう言うと、潤は口を閉ざしてしまった。

そのまま俺のアパートに着き、降ろしてもらう時でさえ、潤はまだ表情を堅くしたままで
俺は一言『おやすみ』とだけ挨拶して部屋に戻っていった。

潤が、どんな考えを持ってどんな行動をしたって、本当は関係ないんだ…
ただ、俺のせいで、誰かが不幸にはなって欲しくない。

俺の存在が、誰かを不幸せにするなら、俺なんてここに存在しない方がいい…

それこそ俺なんかいなくなったって、誰も悲しまないんだから…
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