第11章 家路
《翔サイド》
久しぶりの我が家…智の仕事終わりまではまだ時間がある。
店に行こうか迷った。
でも、今、智に会ったら、直ぐにでも抱きしめて欲しくなっちゃうから、家に帰って待つことにした。
先にシャワーをして、智に買って貰ったパジャマに着替えてソファに座って待ってたんだけど
何もせずにただ待つって時間の流れが遅く感じるんだな。
少しでも智を感じたくて…智の匂いに包まれたくて…
ベッドに移動して、智の枕を抱きしめながら布団に潜ってた。
そしたら、コンクールの疲れと、その後身内でやった祝賀パーティーの疲れで、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
「しょ、お…?」
眩しい光と共に聞こえた、懐かしくて愛しい声に胸がキュンとなる。
ゆっくりと目を開くと、目を見開いた智が見えた。
「おかえり、智」
自分でも自然と笑顔になるのがわかった…なのに智は…
「おかえりって…お前…」
なんでこんなに驚いてるんだろう?
しかも凄く困惑した表情。
「智は俺が戻ってきて嬉しくないの?」
俺が帰ってきたら迷惑?
まさか、もう誰か別の人と…
「イヤ!すっげぇ嬉しいよ」
慌てて全力で否定してくれて、安心したのと同時に嬉しくなった。