第9章 愛の夢
「はよ…」
店の事務所に行くとニノは既に仕事をしていた。
「おはよ、何?翔だけじゃなく智も具合悪いの?」
翔が仕事を休むことは、事前にニノに連絡を入れておいた。
「いや、そんなことねぇけど…」
「じゃあ、翔が心配で元気ないんだ」
ニノがニヤニヤしながら俺を見てるけど、実際そうなんだから何も言い返せない。
「図星なんだ…」
「わりぃか…」
「全然悪くないよ?それだけ翔のことが大切ってことだろ?
その調子で頑張って翔のことゲットしちゃいなよ」
「あ~、うん…」
「なに?歯切れ悪いね。何かあったの?」
「ん、もうゲットした」
「はっ?なんて?」
ニノは目を見開き再度俺の返事を聞き返す。
「だから、付き合うことになった」
「え?マジで⁉」
「マジで…」
「だって、昨日翔に相談されたばかり…」
「あぁ、そうみたいだな」
「じゃあ、昨夜ってこと?」
「うん…」
「え、まさか今日翔が具合悪いのって智のせい?」
ニノに質問され吃驚した。俺のせい?
「そうなのか?」
「いや、俺が聞いてるんだけど…」
苦笑いされてしまった。
「だって原因わからねぇんだもん…
悪いモノ食わせてねぇし」
「昨夜、翔のこと抱いたでしょ」
「えっ?あ、うん、まぁ…」
なんでわかった?
「ナカに直接出したんじゃないの?」
「うん…だって女じゃないから大丈夫かな、って…」
「バカッ!…はぁ~もぉ、それだよ体調不良の原因!」
ニノに怒鳴られたあと、盛大に溜め息を吐かれてしまった。
「どういうことだ?」
「ナカに出した後、ちゃんと処理したの?」
「なに?処理って」
「あのね、男相手だとナカに出しても子供は出来ないけど
今日の翔みたいな状態になっちゃうってこと」
「え⁉そうなのか?」
「うん。だからナカに出したならちゃんと綺麗にしないと駄目なんだよ」
「だって翔、そんなこと一言も言ってなかったぞ?」
「翔も知らなかったんでしょ?
潤相手の時は、ゴム着けてたと思うし」
「そうだったんだ…」
「初めてで知らなかったからしょうがないけどさ
翔のこと大切に思うなら、そういうとこもちゃんとしてあげないと…
辛い思いをするのは翔なんだからね」
「うん、わかった。サンキュ」