第9章 愛の夢
「え?腹?昨日何か悪くなるようなもん食ったっけ?」
ふるふると俺の胸の中で首を振る。
「とにかくベッドに戻ろう?歩けるか?」
「うん…」
手を貸してやりながら寝室まで戻りベッドに寝かせた。ベッドの縁に座り翔のおでこを触る。
「熱は無さそうだな…裸のまま寝ちゃったから冷えた、とか?」
「わからない…でも起きたときは智に抱かれてたから温かかったよ?」
布団の中で力なく答える姿が痛々しい。
「とにかく今は薬か…って言っても家にはないし…買ってくるか」
「大丈夫…少し休めばよくなるよ…」
「でも…」
顔色も悪いし…腹の調子が悪いんじゃメシも食わせられないし。
「大丈夫だから、智はご飯食べてきて?俺、寝てるから」
「お前が具合悪いのにひとりでなんか食えるか」
「駄目だよ。朝ご飯食べるのは基本でしょ?智が言ったんだよ?俺のせいでそれを破るのは嫌だ」
「わかった…じゃあ翔の分のお粥も作ってくるから食えるようなら一緒に食おう?」
「うん。待ってる…美味しいの作ってね?」
「おう、任せろ。とっておきのお粥作ってやるよ」
翔の頬にキスを落とすと翔は微笑みながら頷いた。
ベッドから立ち上がりキッチンへ行く。一刻も早く翔の元へ戻るために、翔のお粥を作りながら出来るだけ簡単なメニューで朝食の準備をした。