第9章 愛の夢
翌朝、目が覚めると翔が腕の中にいなかった。
なんでだ?あれだけ愛し合って目覚める朝。翔の事だから、絶対俺にひっ付いて寝てると思ったのに…
その可愛い寝顔をゆっくり眺めようと、眠りに就く前から楽しみにしてたのに。
まさか俺より先に目が覚めるなんてなぁ…ここに来てからまだ数回しかないじゃないか。その数回が何で今日なんだよ。しかもベッドにもいないって…
少し残念に思いつつ、ベッドから下りTシャツとスエットを身に着けリビングへ。
でもそこに翔はいなかった…ここじゃないなら風呂か?昨日あのまま寝ちゃったしな…濡れタオルで拭いてはやったけど、汗もかいたしスッキリしたいか…
ソファーに座って待っていると、昨夜の翔との事が頭の中に甦ってくる。
綺麗な顔してるけど、まさか男のイキ顔があんなに色っぽいとはなぁ…俺のことを呼び続ける声は可愛くて、その声に俺のアソコが勝手に反応した……あ、ヤベッ、思い出しただけで少し勃っちまったじゃねぇか…
それにしても翔のやつ、遅すぎないか?
…あれ?そういえば水音がしていない。
心配になった俺は風呂場へ向かった。が、そこにも翔はいなかった…となると残すところはトイレ?
トイレの前に立つと鍵が掛かっていて、間違いなく中に入ってる。まさかずっとトイレに居たのか⁉
「翔、どうした?具合悪いのか⁉」
返事はないが鍵の音がして、扉が開くと真っ青な顔をした翔が俺の胸に倒れ込んできた。
「どうした⁉」
慌てて翔を抱き止めると弱々しい声が聞こえた。
「…さとしぃ…お腹、痛い…」