第9章 愛の夢
手を繋いで家まで帰ってきたけど、それ以外は今まで通り。
一緒に食事を作って、向かい合って食べて、俺がお風呂に入ってる間に智が食器を片付ける。
そりゃね、お互いの気持ちがわかったからって、急にイチャイチャとかはしなくてもいいよ。
男同士だしね?
でもさ、あまりにも変わらないと、俺たち恋人同士になったんだよね?って確認したくなる。
気持ちはわかったけど、恋人にするつもりはないとか言わないよね?
それとも智は恋愛において淡白とか?
俺は人を好きになったの初めてだし
智の傍にいるの好きだから、もっと近くに居たい、もっと触れ合いたいとか思ったりするのに…
ふたりで料理するときも、何となくいつもより距離を置かれてる感じがして寂しかった。
今だって俺がお風呂から上がってきた途端、視線を逸らして入れ替わるようにお風呂に行っちゃったし…
もう先に寝ちゃおうかな…って思ったりもするけど
新しいベッドだから、ひとりで先に使うのもなんか気が引ける。
ビール飲んじゃう?
でもなぁ…昨日フラフラしちゃったからひとりで飲むのもなぁ。
あ~もう!なんで両想いになったのにこんな悩んでばっかりなんだよ!
両想いって、もっと楽しいのかと思ってたのに、モヤモヤしかしないじゃん!
もう面倒くさい!
なんて、心の中で悪態ついてたのに
バスルームのドアの開いた音がしただけで『智が戻ってくる』って嬉しくなってる自分がいる。
恋って、感情の起伏が激しくて大変…