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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第9章 愛の夢


一台の車が店の前に止まった。

「智と翔か?お前ら店の前で何してんだ?」

車の窓が開き潤が顔を覗かせた。

「あっ、いえっ何も!もう帰るところです」

智が慌てて腰を伸ばし潤の問いに答えた。

「行くぞ、翔」

しゃがんだままの俺の二の腕を掴み、立ち上がらせる。

「あ…うん。おやすみ、潤」

「あぁ、気をつけて帰れよ」

「お疲れさまでした」

智は俺の腕を掴んだまま早足で歩き出した。

「智っ……ねぇ、智ってば!」

「え?なに?」

「歩きづらいんだけど」

二の腕を掴まれ、早足で歩かれるから引き摺られるように歩いてた。

「あぁ、わりぃ…」

智の手が俺の腕から離れた…これはこれで寂しいな、なんて思ってたら智の手が俺の手を握った。

「行こう」

「うんっ」

俺は智の手を握り返すと、なるべく智に体を寄せるように歩いた。

「ふふっ、智って潤に弱いんだね?」

「弱いって訳じゃないけど、あんな路上でふたりしてしゃがみこんでたら怪しまれんだろ」

「なにを?」

「なにをってそりゃ……なんだろな?」

智が首を傾げた。

「なにそれ?わからないのに怪しまれると思ったの?変なの…」

「うるせっ!急に潤さんが現れたから焦ったんだよ」

「智でも焦ることあるんだ…」

「あるよ…お前に関しては焦りっぱなしだよ」

智が俺の方を見て苦笑した。
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