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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第9章 愛の夢


目を見開いたまま、離れていく智の顔を見つめた。

「さ…と…」

声が掠れる…

今、起きた出来事は現実?

「ごめん…」

ポツリと謝罪の言葉を呟く智。

やっぱり現実なんだ…
なんで?なんでこんなことしたの?わかんないよ…

「さ、とし…ど、して…」

「ごめん…絶対しちゃいけないことだってわかってたのに…」

絶対しちゃいけないことだってわかってた?
それって今までにもそういうことを考えてたってこと?

「ほんとごめんっ!」

勢いよく頭を下げ、もう一度智が謝罪の言葉を告げる。

「ねぇ…どういうこと?
ちゃんと説明してくれないとわからないよ…」

頭をあげた智は眉毛を下げ、情けない表情をしていた。

「…俺が好きなのは翔…お前だよ。
だから告白出来なかった…
すればお前が俺の元を去っていくと思ったから。
お前に居場所を与えておきながら、俺がその場所を奪うようなマネ出来なかった…」

俺のことを見つめながら話す智…
今語られてることは事実?
こんな都合のいい話ある?

「翔…ごめんな…お前のこと傷つけたくなかったのに…
最低の形で裏切った」

智は視線を伏せると、唇を噛み締め両手をキツく握りしめた。

「なんで?なんでそんなこと勝手に決めるの?
智は裏切ってなんかないよ…」

裏切るどころか、俺にとっては奇蹟のような話なのに。

智が視線をあげ、不安そうに揺れる瞳で俺を見つめる。
そんな智の表情、初めて見るよ…
それだけ俺のこと大切に思ってくれてたの?

智の頬に手を添え、その揺れる瞳を見つめ返した…

「翔…」

噛み締めてた唇に血が滲んでる。

「バカだね…こんなに強く噛み締めるなんて…」

大好きな人の唇に滲む血を、唇で拭った…
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