第9章 愛の夢
「あのぉ…」
上目使いで俺を見る。
その視線が可愛いとでも思ってるのか、わざとらしい。
「なんですか」
「私、大野さんのこと好きなんです。
付き合ってください」
「すみません、俺はあなたのこと好きではないので付き合えません」
間髪入れずに答える俺を、彼女は目を見開いて見つめてる。
「なんでっ⁉」
「なんでって言われても、俺には他に好きな人いるんで」
「好きな人?恋人いるんですか?」
今にも溢れそうな涙を目に溜めながら、詰め寄ってくる。
全くもってニノの言う通り…溜め息しか出ない。
「恋人ではないです。ただ俺が好きなだけなんで」
「だったらいいですよね?」
「は?なにが?」
「恋人がいないなら私と付き合ってくれますよね?」
なんでそう言う考えに至るんだよ。
「無理です」
「どうしてですか⁉」
「どうしてって…俺はあなたに興味がない」
「付き合えば興味持てますよ?
私、男の人に尽くすの好きなんで…」
彼女がピタッと体を寄せてきた。
「止めて貰えます?」
彼女の両肩を掴むと体を押し返した。
「そんな遠慮しないでください…
なんだったら、このまま大野さんのお宅にお邪魔してもいいんですよ?」
ニヤッと笑う顔が品が無さすぎる。
なんだこの頭の悪さ…男だったらすぐにエッチさせればオッケー貰えるとでも思ってるのか?
確かにそんな野郎も多いだろうけど
残念ながら、今の俺は翔以外に興味はねぇんだよ。