第9章 愛の夢
「まぁ、でもね、智も俺のこと相当心配してくれてたから…
相葉さんのこと、いい人だと思って俺に薦めたんでしょ」
確かに言ってた、相葉さんはいい人だって。
「でもさぁ、俺には『相葉さんに乗り換えたら?』なんて言うくせに
翔には断らせるんだから…
智ってほんとわかりやすい」
「え?なにがです?」
「翔のことが、それだけ可愛くて心配で大切な存在ってこと」
大切な存在?俺が?
「それって俺が悩んでたから『断っても平気だ』ってアドバイスしてくれただけなんじゃ…」
「かもしれないね…
でも翔が大切な存在なのは、間違いないから。
翔がなつけばなつくほど喜んでたもん」
「ほんとに?」
「ほんとほんと。
だからさ、ヘタに気持ち隠す必要ないんじゃないかな。
大体ね、智の場合、智にその気がなかったら翔がどんなにアピールしたってアイツ気が付かないから」
「そうなんですか?」
「そうそう。今まで何人の人間が涙してると思ってるの…
智って自分から興味持った人以外、相手にしないから」
「そう言えば、ニノさんにスカウトされた時もそうだったって言ってました。
気になって自分から声掛けたって」
「でしょ?智は興味がないことには動かないタイプなの。
それって、恋愛に関してもそうだと思うよ?
智が自分で好きになった相手じゃないと、相手にしない、と言うか気にも留めない。
だから翔は翔の思った通りに行動してごらん?
それで智がどう感じるかは智次第。
翔に恋愛対象としての興味が湧けば、自然に智から動いてくれるし
もし湧かなければ、翔の気持ちに気付かないまま、今まで通りの関係が続くだけだから。
それはそれでキツいかも知れないけど
でも少しでも可能性があるなら、チャレンジした方が良くない?」
アピールしても好きな気持ちが届かないのはキツいかも知れない…
でも可能性はゼロじゃない。
いずれにしても、智が俺から離れていくことがないのなら
初めて知ることが出来たこの気持ち、大切にしたい…