第9章 愛の夢
「で?何を相談したいの?
智の落とし方?」
落とし方、って…
ニノさんは、そっちの相談だと思ってたんだ。
「あの…俺、智に気持ち知られない方がいいんじゃないかって思ってて…」
「なんでっ⁉」
ニノさんが目を見開いて驚いた。
そんなに驚くこと?
「だって、バレたら智の傍に居られなくなる…」
「ふ~ん、そうかなぁ?
智なら大丈夫じゃない?」
「どうしてです?
智って同性愛者じゃないですよね?
前に『そんな趣味ない』って言われました」
「え?いつ頃?」
「智が俺のアパートに泊まったとき」
「あぁ~、あの時かぁ…
まぁ、あの時はね、翔のことを安心させたい気持ちもあったんじゃないの?」
「安心?」
「そうだよ。
だって翔は潤に抱かれてたじゃん。
だとしたら翔にとっては男も性の対象でしょ?
一緒に寝れば襲われる可能性もある…違う?」
あの時、智が俺を襲うとは思わなかったけど
一緒の布団に寝るのに、ちょっと躊躇いはあった…
潤と会うまでは、男性をそういう対象で見たことはなかったけど
潤に抱かれて、俺は男同士でも、そういう行為が出来る事を知ったから。
「だからね、智は翔を安心させる為に言ったんだよ」
「だとしても、智は男に興味ないんじゃ…」
「じゃあ聞くけど
翔って最初から同性愛者だった?」
「今まで好きになった人がいなかったからよくわからないけど、違うと思います」
「そっか、翔にとっては智が初恋なんだ」
「…はい」
「じゃあ比較の仕様がないか…
でもさ、智だから好きなんでしょ?
相葉さんじゃ駄目だったんでしょ?」
「それはそうです」
智以外じゃ駄目なのは確か。
「俺もさ、昔は女性と付き合ってた
でも、潤に出会って潤を好きになった
人の縁って不思議だけど『この人じゃなきゃ駄目』って思える人が、同性の場合もあるんだよ。
智だってその可能性はなくはないでしょ?
それにアイツ、同性愛普通に受け入れてるし」
「そうなんですか?」
「うん。俺と潤のこと知った時も、なんら驚かれなかった。
それどころか俺のこと心配して『相葉さんと付き合ったら』なんてアドバイスもするんだよ?
ちょっとズレたアドバイスだけど」
「どうしてですか?」
「さっき言ったでしょ?
俺は潤だから好きになったの。
男が好きな訳じゃない」
「あっ、そっか…」