• テキストサイズ

きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第8章 カノン


「じゃあ、抱っこ…」

「は?」

抱っこって、あの抱っこ…だよな。

「駄目?」

「いや、駄目じゃないけど、それもないの?」

「赤ちゃんの頃はあるだろうけど、記憶には残ってない…」

「わかったよ、ほら来い」

俺は胡座をかいて両手を広げると、翔を呼んだ。
膝立ちで近づいてきた翔を、ぎゅっと抱きしめた。

「ねぇ、これって抱っこ?」

「え?違うのか?」

「これじゃ抱きしめられてるだけな気がする。
それにこれだったら俺、智に何回もして貰ってるし」

「あ…そうか…抱っこってどうすればいいんだ?」

「ん~、親が子供を抱っこするときは足が着かないからなぁ。
大人同士だと無理なのかな。
智の方が俺より背低いし…」

「悪かったな、低くて」

「あ、ごめん…気にしてた?
悪気は無かったんだけど
でも俺が想像してた抱っこは無理なんだなって思って」

「じゃあ、これならどうだ」

「えっ?」

俺は翔の背中に回していた腕を、翔の脇の下と膝の裏に差し込み掬い上げた。

「うわっ!」

バランスを崩した翔は、慌てて俺の首に腕を回ししがみついた。

「これなら抱っこっぽい?」

すぐ目の前にある翔の顔を見ながら確認する。

「う、うん…そうだ、ね…」

頷く翔の顔は真っ赤に染まってた。
/ 243ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp