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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第8章 カノン


「さて、寝るか…」

「ん…」

ビールを飲み終わると眠くなってきた。

普段飲みなれてないのと、お風呂あがりで血流が早くなってるから一気に酔いが回った?

立ち上がるとフワッとする。

「おい、大丈夫か?」

智が慌てて体を支えてくれた。

「んふっ、らいじょうぶ…」

「…じゃねぇな、ちょっと待ってろ」

智が手に持っていた缶を取り、俺をソファに座らせた。一度キッチンへ行き、グラスを持って戻ってきた。

「ほれ…水だ、飲め」

俺にグラスを差し出す。

「ん、ありがと…」

片手で受けとり飲もうとしたけど、上手く力が入らない。
両手で掴み、溢さないようにゆっくりと飲んだ。

「大丈夫か?」

智の心配する声…顔を上げるとその表情も心配そう。

「ん…ごめんね、いつも迷惑かけて…」

「いや、こんなの迷惑のウチに入らないから。ほら行くぞ」

智の手が俺の目の前に…グラス?そう思ってグラスを渡すと今度はもう片方の手が…

「え…なに?」

「手…掴まれよ。ひとりじゃふらふらして危ないだろ?」

「大丈夫だよ…」

これ以上迷惑掛けたくない。

「いいから掴まれ」

「うん…」

強めに言われ、智の手のひらに手を乗せるとギュッと握られ引き上げられた。

そのまま手を繋いでキッチンへ寄り、グラスを置くと寝室へ向かった。

本当にもう大丈夫なのに…
でもその繋いだ手が嬉しくて、離したくなくて、ギュッと握り返した。
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