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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第8章 カノン


ニノが他の席の接客に行き、ふたりだけになると
相葉さんは少し声を抑え、翔に話しかける。

「この前の件、考えてくれた?」

一瞬間を置き、コクンと小さく頷いた翔。

「で、どう?一緒に食事行ってくれる?」

少し緊張した表情を見せる相葉さんを見て、本気で翔のことを考えているんだとわかった。

「…ごめんなさい…」

「どうしても駄目?
この前も話したけどそんな重く考えなくていいんだよ?
ただ翔くんとゆっくり話したいだけだから」

「ごめんなさい…」

翔が頭を下げ、もう一度謝罪の言葉を口にした。
その姿を見て、悲しそうに顔を歪めたけど、すぐにいつもの爽やかな笑顔を浮かべた相葉さん。

「そっかぁ、残念…
翔くんみたいな可愛い子と食事できたらいいなぁ、なんて思ったけど
こんなおじさん相手にするの嫌だよね?
ごめんね、翔くん」

翔は勢いよく頭をあげると、首を横に振った。

「おじさんだなんて思ってません!
相葉さんはとても素敵な方です」

「ありがと。そんな風に言って貰えると、お世辞でも嬉しくなっちゃうよ」

「お世辞なんかじゃないです」

「でも一緒に食事には行ってくれないんでしょ?」

視線を伏せる翔…

「誰かいるの?」

「え?」

翔が相葉さんを見ると、相葉さんは優しく微笑んだ。

「誰か好きな人がいるの?
だから俺と食事に行けないの?」

そう聞かれた翔は、相葉さんの顔をじっと見つめた。

「すみません…注文いいですか?」

「あ、はい…お伺いします」

カウンター席の客からオーダーが入り
その後、ふたりがどんな会話をしたのか、聞くことは出来なかった。
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