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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第1章 プレリュード


「ピアノ終わったみたいだし、そろそろ行くか」

「はい…」

店内に戻ると、カウンター席に潤さんが座っていてカウンターの中にニノがいた。

「あ、遅いよ智。潤がカクテル作ってだって」

「お前が作ればやればいいだろ?」

「だって智の方が美味しいじゃん」

「大して変わんないって…」

「いいから早くっ」

「はいはい…」

俺がカウンターの中に入ると、ニノはカウンターから出ていった。

「店オープンさせるよ」

「あいよ」

ニノが店の外の電気をつけに行った。

「潤さん、何にします?」

「ギムレット」

「畏まりました」

俺がカクテルを作り始めると潤さんは席を立ち翔の前に立った。

「やっぱり似合ってるな、そのネクタイ」

「……」

微笑みを浮かべる潤さん。
でも翔の方は、褒められてるのにやはり無表情。

そこへニノが戻ってきた。

ニノがふたりの前に立ち、翔に仕事の内容を説明する。

「翔、今日はまだ何も出来ないだろうから、お客様が帰った後の片付けと洗い物とグラス磨きして。
詳しいことは智に聞いてね」

「はい…」

ニノに向かって返事をする翔の肩に、潤さんが手を乗せた。

「カズ、翔は仕事するの初めてだからよろしく頼むよ」

「うん…わかった…」

ふたりの姿を見るニノの目は、やはり少し寂しそう。

「潤さん、出来ました」

潤さんに声を掛けると、潤さんはカウンターの席に戻ってきた。

「ありがと」

グラスを持ち、ひとくち口に含んだ。

「うん、美味い。さすがだな」

潤さんは笑顔で俺を見、褒めてくれた。

「ありがとうございます」

「この店が繁盛してるのは智の腕のおかげだな」

「いいえ、ニノのおかげですよ」

「ああ、勿論それはわかってるよ。
だから安心してカズにここを任せているんだ」

潤さんがニノを見るとニノは嬉しそうに微笑んだ。
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