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きみに届けるセレナーデ 《気象系BL》

第7章 愛の挨拶


俺が智をどう思ってるか?
俺にとっては智は…

「大切な存在なんでしょ?」

「え…」

「だって、翔の弾く音のひとつひとつが、とても丁寧で
大切な曲を弾いてるんだな、ってわかるよ?
智の為に弾いてるから、そういう演奏になるんじゃないの?」

ニノさんの言う通りだ。
そう思って弾いてた…一音一音をただ弾くんじゃなくて
智に届けたい…その一心で弾いた。

だからニノさんの問い掛けに笑顔で答えた。

「そうですね…俺にとって智は、とても大切な人です」

「良かったね、翔…
お前にも、ちゃんと心ある演奏出来たじゃん」

ニノさんが嬉しそうに笑い返してくれた。

俺に心?智を大切だと思う気持ちは俺に『心』があるから?

「誰かの為に何かをしたいと思うのは、心が動かされてるからでしょ?
それに翔は、ここに来てから笑うことが増えた。
それだって、心があるから笑えるんだよ?」

そうか…智といると感じていた様々な気持ちは俺に『心』があったから…

嬉しいも、恥ずかしいも、楽しいも…全部…
頭で考えたことじゃなく『心』で感じていたんだ…

「智…俺が探していたもの、智のお陰で見つかった…」

智の方を向いたけど、智の顔がボヤけてよく見えない…

「そっか…よかったな…」

智の優しい声と優しい温もりに、全身が包まれた。

「うん…ありがとう、智…」

智の肩に顔を埋め、智の背中に腕を回すと
俺を包んでいた智の腕に、更に力がこめられた。
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