第7章 愛の挨拶
《翔サイド》
「俺も、お前と一緒に暮らせて良かったよ…
だからいつまでも俺の傍にいろ」
智からそんな言葉を貰えると思ってなかったから…
俺は迷惑な存在だとばかり思ってたから、スッゴく嬉しくて。
でも、よくよく考えたら凄い言葉だよな…まるでプロポーズみたい。
朝は『デート』発言、インテリアショップでは『新婚』発言…
そしてトドメに『俺の傍にいろ』発言。
智が次々とそんなことを言うから、今日は心臓が忙しい…
「翔?」
「え…」
顔をあげると智が苦笑していた。
「ごめん…俺、変なこと言ったな…」
「ううん…大丈夫…
俺、『傍にいろ』なんて言われたことなくて。
男の人に言われても、ちょっと照れる言葉だね」
「そう、だよな…プロポーズみたいなセリフだよな」
智もそう思ったんだ。なんか改めて智に言われると恥ずかしいな。
「でもさ、『いつまでも』は言い過ぎだけど
お前が出ていきたいと思うまで、遠慮なく居ろよ?」
「ありがとう…智も彼女とか出来たら俺に遠慮なく言ってよ?
いつでも出て行くから」
自分で言った言葉なのに、何故か胸が苦しくなった。
「ん~、まあでも暫くはないから…
変に気を使うな」
「そうなの?だって智モテるでしょ?
いつ彼女が出来てもおかしくないじゃん」
「確かにお客さんによく声は掛けて貰うけど
モテるのと彼女が出来るのは別問題。
俺、誰でもオッケーじゃねぇし…
たぶん自分が好きになった人とじゃないと付き合えないよ」
そう言って、智が俺に向かって優しく微笑んだ瞬間、心臓がぎゅっと締め付けられた。
俺の心臓、忙しすぎてとうとうおかしくなった?
でもさ、智の優しさを独り占め出来る人、絶対幸せだよな…羨ましい…