第7章 愛の挨拶
「オ、オムライスなっ」
少し動揺を残しつつも、洋食店を探しオムライスとナポリタンを注文した。
「智、ナポリタン好きなの?」
「いや普通だけど、こういう店のナポリタン旨そうだなって」
「ふ~ん。ねぇ、智の好きなものって何?
智ってあまりそう言うこと言わないよね」
『お前』…って言いたいところだけど、我慢した。
人に告白出来ないって、辛いもんなんだな…
今までそんな我慢したことないから知らなかったよ。
「智?」
「ん?あぁ、そうだなぁ…今はお前のピアノ、だな」
「え…」
「昨日、俺の為に弾いてくれただろ?
なんかさ、潤さんがニノにピアノ弾いてくれって頼む気持ちがわかったよ…
自分に向けて演奏して貰えるって嬉しいよな。
しかもお前、超上手いじゃん…仕事しながら癒されてたよ」
「本当に?俺の演奏で…智、癒されてくれた?」
「あぁ…ずっと聴いていたかったよ」
「…よかった」
あぁ~…今度は間に合わなかったか…
俺が止める間もなく、翔の目から涙が溢れてしまった。
腕を伸ばして翔の頬を流れる涙を拭ってやると、綺麗な微笑みを浮かべる翔。
「ありがと。俺、智に逢えて本当によかった…
智と一緒にいると色々なこと、知ることが出来る…今は毎日が楽しくて仕方ないよ」
翔がそんな風に思っていてくれたなんて…
「俺も、お前と一緒に暮らせて良かったよ…
だからいつまでも俺の傍にいろ」
そう言うと本日3度目…
翔の顔が今日一で真っ赤に染まった。