第5章 未知の世界
─数時間後─
─朔哉side─
最後に見たのはどこかの家…?
……よく思い出せない。
それに身体が熱くて苦しくて…でも誰かが俺を呼んでいた気がする。
少しずつ意識が浮上して来るのに物凄い倦怠感と睡魔が邪魔をして来る。
俺の周りに残る微かな匂いが……?
百さんの匂いと天の匂い…。
それから……
食い物の匂い?
それに額が冷てぇ…。
まだ上手く力が入らねぇけど妙に静かなのが気になって身体を起こす。
が、俺が思ったより力が入らなさすぎて持ち上がりかかった身体が沈んだ。
そしてまた…倦怠感と睡魔が俺の邪魔をしに……。
朔哉の動いた距離僅か数センチ。
仰向けからうつ伏せへと小さな変化。
─同刻・テレビ局─
─TRIGGER楽屋・天side─
あれからボクが帰った後も百さんから彼の事をラビチャで聞いて把握していた。
天「…2日かけてやっと38℃前後って…大丈夫なの?」
ラビチャを見ながら独り言のつもりだった。
龍「偶に居るよね。低体温の子が高熱を出すと平熱に戻るまで物凄く時間がかかるって子。」
天「そうなの?」
龍の声に気付いて見上げる。
龍「勿論人によるけど、朔哉君がそのタイプなのかもね?」
天「…そう。」
龍「でも結構珍しいタイプだからあまり信じてもらえないって嘆く子も居るよ。」
天「……。」
龍の話が本当で彼がそのタイプなら彼は後どのくらいで復活出来るのか…。
でも今は彼の事ばかり考えてる訳には行かなかった。
今年のブラホワに出る為にJIMAの新人賞を獲得しなければならなかったから。
彼の事は気になるけど今はやるべき事をやらないと…!