第5章 未知の世界
今が売れ時だという時に妊娠なんてしたら10ヶ月は何も出来ない。
ステージに立って歌って踊る事も、ファンに会う事も出来ない。
勿論妊娠なんてしたら隠し通す事なんて…出来ない。
出来るはずがない。
百さんやボクみたいなΩは個人差はあるけど10代後半に初めての発情期が来ると言う。
そして生殖器がある。女性で言うところの子宮があるって事。
だから妊娠する事が出来ると言う事になる。
薬で多少時期を遅らせる事は出来ても発情期が来てしまえば、1週間は抜く事しか出来なくなる上にαを誘発してしまう程の強いフェロモンが発せられる。
番がいればそれは番だけを誘うものになるけど、ボクみたいなフリーなΩがそれをした場合、番のいないαが勝手について来てボクを強姦するくらい容易いと言う事になる。
百さんはボクがそうならないように、αを恐れないように番を出来るだけ早く作れとそう言ったのだ。
そしてその番候補が彼と言う事になる。
ボクはまだ発情期が来ていない。
彼の精通する時とボクの発情期が来る時が重なるなんて事になればもうどうなってしまうか分かるでしょ?
でもだからと言って楽と番になるのは死んでもイヤだ。
同じくらい見ず知らずの人に番にされるのもお断り。
となると…
彼と番になるしかない……?