第2章 出会い
本当ならこのまま最寄り駅にでも送り届けた方が安心なんだけど
慌てて降りた駅は普段使わない駅だったし…
…取り敢えず本人に聞いてみようと声に出そうとするが…出なかった。
またか…と気落ちするも鞄の中からスケッチブックと筆記具を取り出し簡潔に言いたい事を書いて相手に見せた。
“家の近くの駅ってどこ?”
少しの沈黙の後
「いや、流石にそこまでは迷惑かけれないよ…!ここで大丈夫だよ?」と
戸惑い混じりにあたふたしはじめた。
“迷惑だなんて思ってねぇし、まだ少し匂いするから念の為だよ。”
書いて見せては微笑んで見せた。
すると今度はキョトンとした顔で「匂い?」と首を傾げる。
……。
こいつ無自覚か…。
ますます危険臭しかしねぇ…!
働いてる人達の帰宅ラッシュなのか怪しそうな奴が増えて来たのを見ると握る手に力が入る。
すると
「…じゃあお願いしようかな?」
!再び声の主を見上げると柔らかな笑みを浮かべていた。