第5章 未知の世界
─本屋・外─
外に出ると車内まで聞こえていた曲の音が大きくなる。
するとまた見入ってしまうようで足が止まる。
百「朔哉?」
突然足を止めた彼を不思議そうに見つめながら視線の先にあるものを見て納得する。
百「朔哉はTRIGGERが好きなの?」
朔「!」
分かりやすく反応すると逃げるようにトイレに入って行く。
天「TRIGGERが好きと言うよりは音楽か声が好きって感じだったけど。」
百「!朔哉は天の声が好きで押し倒した?」
天「違います!」
百「じゃあ何で押し倒されてたの?」
天「それは…。」
寧ろボクが知りたい。
と彼が戻って来た。
よく見ると髪が濡れてる…?
天「ちょっと待って」
袖を掴んで動きを封じて彼の額に手を当てる。
その様子にキョトンとするも店内が気になるのか入りたそうにしている。
百「天?」
天「百さん、もう買うものは無いんですよね?」
百「?多分ないと思う。」
天「じゃあ…」
百さんの耳元で彼に気付かれないように思った事を伝える。
そして互いに頷くと…
百「大変だ!悪い子捕まえにお巡りさんが見回りに来るから帰らないと!」
深夜徘徊を利用した小芝居だ。