第5章 未知の世界
後部座席のドアが開く。
百「ただいま…」
百さんの声に彼も反応して涙目のまま百さんを見る。
3人が互いに顔を見ると
百「…お取り込み中失礼しましたー!」
そう言いながらドアが閉まった。
天「!!百さん違いますって!」
慌てるもドアが閉まってしまった上に彼はそのまま動かない。
早く百さんの誤解を解かないと!
天「…いい子だからボクの上から一旦降りよう?」
諭すように怒らせないように視線を合わせて声をかける。
朔「……。」
何か言いたそうな顔をしている。
天「もういきなり尻尾掴まないから…許して?」
暫くの間の後ボクの上から降りてくれた。
百「あれ?もう終わったの?」
後ろの方から百さんの声がする。
慌てて起きて後ろを見ると買って来たものを詰んでいるのが見えた。
天「何も始まってません!」
百「とか言って朔哉にときめいたりしたんじゃないの?」
天「ビックリはしたけどそれはまだです。」
百「ふーん?あ、朔哉降りておいで?」
ボクが掴んだ箇所を撫でていた彼が百さんの方へと視線を移すもまだ涙目のままだった。
そんなに強く握った覚えは無いんだけど…。
そう思ってるとトランクが閉まり再び後部座席のドアが開いた。
百「朔哉おいで?あ、尻尾は隠してね?」
百さんが優しく声をかけると彼は小さく頷いてコートを羽織るとちらっとボクを見た。
まだ少し怒ってる感じは伝わった。