第2章 出会い
匂いの元は1人の人間だった。
………男……?
そいつはパッと見女にも見えなくはねぇくらい綺麗な顔をしていた。
今日はやけに人に見入ってしまう。
自分で言うのもなんだけどいつもは全くと言っていいくらい無関心なんだよ。
でもこいつからあの甘い匂いがするのは確かだった。
周りを見渡しても食い物の匂いはしねぇしそれらを持ってる奴も見当たらなくて。
かと言って香水のような嫌な匂いでも無くて。
となるとフェロモン…?
でもフェロモンって無臭に近い筈。
こんなに人を引き寄せられる筈は……。
……まさかこいつ…
脳裏に一瞬過ぎったのはΩという可能性。
いや、まさかんな筈は無いと首を横に振る。
こんな品の良さそうな奴がΩなわけ……。
そう思いながら改めて相手を見つめると普通の奴等とは違う富裕層って奴の品格っつうかオーラつうか…ますますΩには見えなかった。