第2章 出会い
─朔哉side─
始めて会ったのは2年くらい前。
TRIGGERがデビューした年。
駅前の画面上に映し出されるセンターの九条天とかいう奴に珍しく見入っていて危うく乗り遅れる所だったし、電車内のチラシもTRIGGER一色だったからよく覚えてる。
俺はその日電車を使って目的地に向かう途中だった。
電車は色んな奴が利用するから色んな匂いがするわけで、中でも男女問わず使う香水の匂いのきついものは苦手だ。
その日も電車内は色んな匂いが充満していた。
人の少ない車両へ移動しようと扉を開けると匂って来たのは甘い匂い。
ドーナツとかケーキの類いじゃねぇのは分かったけど香水とはまた違う…?
すげぇ気になるっつうか…うまく言えねぇけど気にならずにはいられなくて無意識に匂いの元を辿っていた。