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恋のかけら…知りませんか?

第3章 雇い主


天「何が…っ?」

!声が出ない!?

動きも封じられ声も出せないとかそんな力が彼にあると言うのか…。


『大人しくしてれば何もしない。』


?今のは…?

誰かの声が聞こえた気がした。

百さんでも勿論ボクでもない…となるとやはり彼の仕業か。

でも彼は喋れない。

然し揺るがない碧い瞳はボクを見据えたまま。

少し冷静さを取り戻すと取り敢えず大人しくしてみる。


『さっき言ってた人をここに呼んでくれるか?』


また同じ声が聞こえる。

やはり彼の声か。


『あまり事を大きくしたくねぇから口外しないでくれと頼むだけだ。』


龍の言ってた白い虎の事だろうか?


『これ以上は力が……』


声が聞こえなくなるとボクの身体に巻き付いていた尻尾が緩まり、それと同時に2本の長い尻尾は力無く垂れ、解放されると体が動いた。

天「!…今のは一体…?」

声も出る。

百さんは!?

慌ててソファーを見ると彼の上に突っ伏す形になっていた。

番のいる百さんでも至近距離でαの力をもろに食らえばこうなるのか…。

相手の動きも声も封じるくらいなら彼にとっては朝飯前なのだろう。

先程の出来事の後で巻き付かれた跡すら無いのが分かると、軽く巻き付かれていただけで助かったと安堵した。

もし彼が全快でフルパワーを発揮していたら…?

彼に悪意があったなら…考えただけでゾッとする。

………。

取り敢えず龍を呼ぶ為にラビチャを開いた。


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