第3章 雇い主
ラビチャの返信に困って既読スルーする事にした。
百「龍は何て?」
天「一瞬だったけど白い虎を見たそうです。」
百「白い虎ってホワイトタイガー?」
百さんがそう聞き返した時だった。
今の今まで気を失っていた彼がソファーの上で身動いた。
そして…
白くて長い尻尾が2本見えた。
百「朔哉?オレの声が聞こえる?」
百さんがそう問いかけるとその白くて長い2本の尻尾は返事をするようにゆらりと動いた。
天「百さん…それ…。」
百さんがまだ気付いていないと判断すると指を指して合図する。
百「!!朔哉って猫だったの?」
朔「………。」
ここからだと彼の表情が見えないけどボクだったら怒るかな…。
天「猫の尻尾にしては長すぎる気が…。」
思わず呟いてしまった…。
彼はボクに気付くとまだ少し怠そうな顔を浮かべるも、ソファーに横たわったままその長い2本の尻尾を器用に動かし、ボクの腰に巻き付けるとそのまま宙に浮かせて自分の方へと引き寄せた。
そしてそのままの状態で暫く動けなくなった。
いや、時が止まった…?
視界に映っている百さんが微動だにしていないし、抜け出ようと動いてるのにピクリともしない。
最初は熱があるのか潤んだ瞳でいたが次第に射抜く様な目でボクを見つめる彼の碧い瞳。
逸らしたいのに逸らせずに惹かれるように見てしまう。