第3章 雇い主
心当たりが無いわけじゃないけど持病か過呼吸か。
恐らく後者。だとしたら…
天「百さん!袋と何か冷たいものありますか?あ、後は彼の呼吸がしやすい様に背中を摩ってあげて下さい。それで呼吸するのが多少は和らぐはずです。」
百「!わ、分かった!袋は何でもいいなら楽屋にあったはずだけど冷たいものは分かんない。」
天「…彼は歩けるの?」
百「無理だと思う。」
天「楽屋はすぐそこなのに…」
Re:valeの楽屋はボクのいる所から2つ先。百さん達のいる所からは1つ先。
つまり
百→楽屋←←天
今こんな感じ。
百「朔哉~?オレの声聞こえる?」
百さんがいつものように大きな声で、優しく問いかける様に彼の名前を呼ぶ。
でもピクリとも動かない。
百「意識無さそう。おぶっても大丈夫かな?」
天「おんぶはやめた方が…」
百「じゃあお姫様抱っこしちゃおう!って事で天は楽屋のドア開けてくれない?」
天「……。ボクにはそれしないで欲しいかな…。」
百「後でしてあげようか?」
天「遠慮しておきます!」
つい怒鳴るように断ってしまったけどそれでも彼は無反応だ。
近付いて症状を確認したいけれど彼がαだと分かった以上ボクが迂闊に近づくのは危険が伴う。
収録前に強烈なαの匂いに当てられてしまえば、どうなるか分からない。