第2章 出会い
相手と視線が合うと思わず逸してしまった。
それでも構わず食べ進めながらスケッチブックを捲り僕の方へと向きを変えて見せてくれた。
そこには
“星咲 朔哉(ほしさき さくや)”
彼の名前が書いてあった。
名前の上にルビがふってあるのはあまり聞かない苗字だからだろうか?
そう思考しながら確認する様に書いてある名前を復唱すると彼は嬉しそうに微笑んだ。
「僕の名前は逢坂 壮五です。」
“どんな字を書くの?”
とスケッチブックとペンを僕に差し出されると書き慣れた名前を書いてみせる。
すると
暫く名前を見ながら時が止まったように動かない事数分。
そして一言僕の名前の下に添えられた一文。
“今日壮五さんと逢ったのは運命なのかもな”
「どう言う意味?」
彼の顔を見ながら問う。
“俺と壮五さんを星が逢わせてくれた”
そう書くと青いペンと紫のペンを取り出して名前の『星』に青いペンで星のマークを。
同じように『逢』に紫のペンで星のマークを書いて線で繋ぐ。
その動作を見て気付いた。
「!そう言う事…?」
そう尋ねればまた微笑んでみせる彼。
今まで色んな人に会って自己紹介をしてきたけれどこんな風に言われたのは初めてだ。
でも嫌な気分はしない。寧ろ…ちょっと嬉しいかもしれない。
はじめて『逢坂』と言う名前を…少しだけ好きになれた気がする。