第2章 出会い
─駅・飲食店内─
“注文が終わったら隅が空いてるからそこに座ろう”
そう書くとまだ赤い顔を隠すようにスケッチブックを立てて見せる彼。
僕たちはあれからバーガー店へとやって来ていた。
そばやうどんでお腹いっぱいになるにはちょっと無理そうだったし…入口に立て掛けてあるメニュー表に見入ってしまったってのもあるかもしれない。
やがて順番が来ると上着のポケットからスマホを取り出し、店員さんに画像を見せながら時折指で数を伝え、店員さんの問いかけに相槌を打つように頷く彼。
そうして順調に会計まで済ませると彼が店員さんにニコッと微笑むと店員さんが照れていた。
僕はそれが店員さんの好みによるものかと思ったけど、彼の笑顔は確かに可愛かった。
隣で一連のやり取りを見ていたけど、彼は声が出ない事に慣れているのだろうか?
そして……
彼は大食いなのだろうか…?
トレイの上に飲み物が3つと大きめのハンバーガーが5つ。
ポテトは「揚げたてをお持ちします」って聞こえたからそれもプラス…。
……僕が少なすぎるのだろうか?
店の隅の席に移動する彼を見ながらあの小柄な体のどこにそれ等が入るのだろうかと眺めていたのを彼は多分知らない。