第45章 君と春の日ーR15ー(家康)
辺り一面 黄一色。
「すごい…綺麗〜〜っ」
ひとしきり感嘆してから華月は持ってきた風呂敷を開けると言い出した。
「何持ってきたの?」
「おやつ、だよ」
童女のような笑顔を見せた。
「俺、甘い物好きじゃないんだけど?」
「お茶、渋いから」
「……アンタ、ちょっと、上手く躱すようになったんじゃない?」
「そう?
だとしたら、家康と一緒に居たいからだよ」
「え?」
「家康の事、理解して、ずっと一緒に居たいたから、努力する」
「努力するとこ間違ってる」
「間違ってないよぉ」
「間違ってる、けど、ありがと…」
突っかかってくる華月を腕に抱いて、
家康がそう言った。
どんな顔してるのかは、抱きしめられている華月には見えない。
けれど、家康の鼓動が強く早く鳴っているのがわかった。
(緊張、とか、照れてるとか…それより)
何より、『ありがとう』と言われた事が嬉しくて。
華月は家康の背中をギュッと抱きしめた。
「家康、大好きっ」
「わっ」
急に抱きつかれた拍子に体勢を崩した家康は
背中から後ろに倒れた。