第45章 君と春の日ーR15ー(家康)
街中を抜けて川土手を登って降りた。
「田んぼの中抜けるから、足元 気を付けて」
昨年稲を刈った残り株がレンゲソウの花畑の中に並んでいる。
「レンゲ畑。綺麗だなぁ、⁉︎ わっ!」
「っと」
家康が注意した矢先、つま先を引っ掛け華月がツンのめったのを家康が受け止めた。
「ごめん、ゆっくり歩く…」
「ううん!私も気をつけるね」
家康に謝られた華月が慌てた。
女性を連れて歩く事自体華月が初めての家康は、一生懸命、色々と手探りだった。
家康が立ち止まって華月を振り返って待つ。
追いついて、家康の隣りに立った華月が
「わぁーー…凄い!」
感嘆の声を上げた。
田んぼの畦土手の目下、
「黄色い絨毯だ〜…」
キラキラと笑顔を輝かせ、その光景を眺める華月。
「タンポポ?」
「近く、行こうか」
家康が華月の手を取って下り出す。
取った手はいつの間にか……
華月は家康の腕にしがみ付いて土手を下っていた。
家康は気付かれないよう、必死に自分にしがみ付く華月を目を細めて見た。
こんなに誰かの体温が近くにあるのは初めてだった。
(温かい…)