第45章 君と春の日ーR15ー(家康)
朝、家康に呼び止められた。
話とは、
「午後から、出掛けられる?」
お誘い。
(デートのお誘い…////)
「えへへ…勿論っ!」
「じゃ、亥刻、門の処で」
素気ないくらいいつも通り。
伝言でも伝えるかのような口調で家康は言った。
そんな事は気にもならない華月は飛び上がりそうな程元気よく返事をした。
「うん!後でねっ‼︎」
その足で華月は針子部屋に行き
「午後からお暇貰っていいですか?」
神妙に言った。
つもりだったが、
「お出かけですか?」
苦笑される。
「えっ、あっ、その…はい」
「家康様と逢瀬ですか〜」
「良いなぁ〜。華月様羨ましいぃ〜」
次々とたたみかけられた。
「‼︎⁉︎ …皆、なんで…////」
華月は顔を真っ赤に俯く。
「何でって、ねぇ」
「華月様分かり易すぎるんですよー」
針子仲間皆に笑われた。
「行こうか」
自然と、何気無く、無造作に、
当たり前のように手を差し出された。
それだけの事なのに、華月の心は嬉しくて堪らなくなった。
「うん」
差し出された手を取ると歩き出した。