第44章 初雪の夜ーR18ー(秀吉)
観念して秀吉が口を割れば
「直ぐ言えばいいのに…」
呆れ気味に笑われた。
「いや…不安になるかもしれないし…
好きな女に、弱い処は見せたくない…だろ…」
「どうしたの、秀吉さんらしくないよ。
見れると思えば見れるし。
私なら絶対見るよう頑張りますよ!」
秀吉の腕の中から見上げてくる華月は、自信満々に晴れ晴れとした表情だ。
「来年も必ず、一緒に見ましょうね」
(可愛いな)
小さな不安を掻き消してゆく笑顔。
それに癒され、勇気を貰う。
それと同時に守りたいモノの大きさ、強さを改めて思い知らされ、秀吉は焦燥にもかられる。
(失くせない)
秀吉は自分の手を握って柔和に微笑む華月に思いを強くした。
(何年後かに死ぬ時まで、ずっとお前を見ていれるよう、俺は進む)
きっとギリギリの戦もあるだろう。
帰れないと思うこともあるだろう。
けど、必ず帰って来ようと思う。
(勝って、手柄を立ててお前の元に)
「何があってもお前の処に戻る。
こうやって、お前を腕の中に抱くために」