第43章 夜の かまくら の楽しみ方ーR18ー(謙信)
「謙信様、耳、赤い」
華月は手を伸ばして耳朶を触る。
「ッッ、コレは、寒いからだっ」
謙信は華月の手を払おうとする。
「寒い?耳、熱いですよー」
「華月、よせっ」
耳から手を離さない華月の手首を掴んで、剥がす。
「華月、悪戯が過ぎるな。
本当に此処で仕置きをして欲しいようだな」
月に照らされた雪のような瞳が、いつの間にか氷の様に変わっていて冷たく見下ろされた。
「いや、あ…あの…それは…っ…」
(ブリザードだ、ブリザードっ、吹雪いてるぅ〜…)
「此処では寒いだろうし、
神座(カミクラ)だからと、我慢していたが…貴様はその気の様だ。
かまくら の中でも一晩中寒く無い様に軀を火照らせてやろう。
幸い、貴様はもう我の腕の中だ」
「幸い…?」
(じゃないよね…最悪でもないけど…)
腕の中は檻の中みたいなものだ。
逃れるのは難しい。