第43章 夜の かまくら の楽しみ方ーR18ー(謙信)
座って酒を飲む。
華月がもっていた包の中は酒と餅だったのだ。
真冬の雪の洞の中なのに寒くはない。
だが、温かくもない。
華月は綿入の羽織を着ているが、
寒くないか、謙信は気になっていた。
「火鉢だけでは寒くないか?」
「そんなには、寒くないですよ」
「そんなには…か。
華月、こっちへ来い」
引っ張り込まれた謙信の膝の中。
指先を包まれ、足の先も手で摩られる。
「…貴様、嘘をついたな。
足先が冷たい。
寒い証拠だ」
「いえ、これは、末端冷え性と言うかっ!
寒いのとは違うんですっ」
「俺に嘘を吐くとは…仕置きが必要だな」
冷え冷えと笑われる。
「俺の膝の中から出る事は許さん」
囲い込まれた。
「えぇっ、何でですかっ」
「こうしていれば温かいからだ」
(私の為?そう言うお仕置きなら)
「謹んでお受けします」
丁寧に頭を下げてから、
改めて謙信を見上げた華月は間近にある水色の瞳をジッと見た。