第39章 視線の先、君の声が泣いている(家康)
(やっぱり……)
俺は溜め息と苦笑を同時に零した。
華月が来ないから部屋に来てみると、
外へ灯りは漏れているのに、返事も気配もない。
ソッと襖を開けると、
畳に丸まって寝ている華月が転がっていた。
(走ってたし、疲れたね)
俺は布団を用意し、華月を抱え上げ、
寝顔を見ながら移動させた。
(可愛い)
その顔を見ているとちょっと優しい気持ちになる気がした。
ちゅっ と額に口付けた。
明日は
(もう少し、歩み寄るよ…)
明日からよろしく。
(俺の夢、見てれば良いのに…)
突然欲張りになる自分に自嘲しながら、
華月の部屋を出た。
君の声が泣いて聴こえないよう、頑張ってみるよ。
(だから、俺の隣りでーー…)
だから、笑っていてくれない?
だから、手を繋いでくれない?
だから、抱きしめてくれない?
もう、怖くない、泣かないから
(ずっと、私の隣りでーー…)
ー了ー